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しみず食堂

日時:2008年1月27日(日)13時30分〜

1月から3月15日まで尾道駅前のイベントホールで巡航船展と題して昭和30年代の尾道の写真展示や
連絡船の模型展示が行われていた。
今では見ることの出来ない昭和の尾道はとても魅力ある光景にとても興味深く見学させてもらった。
その展示会の前に昼食を取るため、今回は海岸沿いにある「しみず食堂」へ向かう。





しみず食堂、かつて海岸沿いがまだ再開発される前、雁木と共に古びた家屋が並ぶ中で営業していた。
私が小さい頃に1度だけ訪れたことがあるような無いような・・・記憶は定かではないにしろ、
食堂らしき店があったことははっきり憶えており、
だてに高校時代、海岸沿いを毎日自転車で走っていただけのことはある。
今回、しみず食堂を選んだのは戦後から作り方を変えずに続けているラーメン、地場で取れた魚を食べること。
そして店内に飾られてあると噂で聞いた再開発される前のしみず食堂の写真を見てみたかった。



小さな建物が海岸沿いに一件ポツンと建っており、半分がカレー屋さんになっている。
店内に入るとビックリするくらい狭く、辛うじて8人は座れるだろうか。
外にテラス席もあるが冬はちょっと寒いかもしれない。
(寒い中で食べるラーメンもそれはそれで美味しいかも)
ちなみに映画「男達の大和」の撮影で、
反町隆史と中村獅童がそのテラス席に座って食べたらしいのでファンにとっては特別な席でもある。
店内には、常連客のおっちゃん1人がいて、女将に愚痴を聞いてもらっているようで尾道弁がかなり飛び交っていた。
メニュー表には意外にも尾道ラーメンと書かれており、420円とはこれまた破格な安さ。
その他、冷蔵庫の陳列ケースには魚の煮付や焼き穴子などたくさん並べられている。
全部、尾道の漁港で上がったものらしい。
とりあえずラーメンをオーダー!
出てきたラーメンは尾道ラーメンとはまったくかけ離れているものである。
メンマにネギ、チャーシューが2枚、尾道のラーメンには珍しくモヤシが入っているが定番の背油は入ってない。
麺は黄色の卵麺で少し太い平打麺の種類になるのかな。
あまり見かけないが歴とした尾道市内にある村上製麺所から取り寄せている。
最初はちょっと硬いと思ったけど、やはり食べていくうちに程よい感触に変わっていく。
背油が無い分、スープは薄口で他店よりも熱くないので猫舌の私でも食べ易かった。
鶏ガラ、トンコツ、野菜ベースにしているので薄口なのも納得。




続いて、稲荷寿司を注文。
スーパーに売っている甘い稲荷寿司ではなく、小さい頃に田舎のおばあちゃんが作ってくれたような素朴で懐かしい味。
小さい頃は稲荷寿司が好きではなかったけど、お寿司の上に巻く海老粉がとても好きだった。
この稲荷寿司に塗している海老粉が甘くて良いアクセントになっていた。

そして、しみず食堂に来たからにはぜひとも食べておきたい地魚料理。
鯛やカレーの煮付、タコやイカ、穴子などたくさん並んでいてどれにしようか迷うくらい。
煮付を食べた後の残り汁をご飯にかけて食べるのも美味しいんだとか!?
結局、焼き穴子を取って店内にあるレンジで暖めてもらった。
尾道でも穴子が取れるのか!?と不思議に思いつつ食べてみると小骨は多いものの身が締まっていた。
メニュー表には載ってないが値段は魚によりけりで焼き穴子は500円と少々高かったものの、
ラーメンが安い分、魚料理に奮発してちょうどお手ごろなお会計になった。
ラーメン、稲荷寿司、焼き穴子占めて1030円なり。



食後、今回の目的の1つである再開発される前のしみず食堂の写真を拝見させてもらった。
その写真の中にある建物は、まさに今にも壊れそうでボロボロでとても綺麗と思える光景ではなかったが、
私にとってはとても懐かしくて、願うものならもう1度この光景をこの目で見てみたいと思った。
小さい頃から高校に通うまでイヤというほど見てきた光景なのに、
失ってしまうと、何故にこうも切なくなるんだろう。
今日は懐かしいことだらけの1日になった。



昭和22年、戦後まもなくこの店はオープンした。
その頃は、支那そばとして親しまれていたが「支那」という言葉が使えなくなり「中華そば」に名称変更。
やがて、しまなみ海道が開通して尾道が全国的にブームとなり、多くの人が尾道ラーメンを食べに訪れるようになったが、
しみず食堂のラーメンは尾道ラーメンとはかけ離れていたため観光客が帰ることもあったらしい。
それが切っ掛けでやむを得ずメニュー表に「尾道ラーメン」と名称変更。
名前は変わってしまったが味は戦後から今もまったく変えないのがしみず食堂の拘りなんだと、
笑いながら女将は話していた。
私のことを遠くから来た観光客だと思っていたようだが、
「実は親戚がこの近くでラーメン屋やりようるんよ〜」と話すと、
厨房からご主人が出てきて、
「あそこのチャーハンは美味い!チャーハンが美味いとラーメンも美味い!○○の店のチャーハンも結構美味しい」
すかさず女将が「他所の宣伝してどうするんねぇ〜」と突っ込んでいた(笑)
最終的には、ラーメンはここで食べてその後に他所でチャーハンを食べることで話はうまくまとまった(笑)
しみず食堂はどちらかというと地元常連客に愛されている店で、
誰かが訪れれば尾道弁が飛び交い笑いの絶えない食堂となるのは昔から変わってない。
この店に入れば昔の尾道に触れることが出来る数少ない店だと思った。
店内に飾られてある写真のせいだろうか?
店を出ると再開発される前の古びた光景がそのまま残っているような気がした。
小さい頃に見た光景は、目を瞑れば今もしっかり残っている。










尾道市東御所町60-8
営業時間/9:00〜19:00(煮魚はお昼前から出るようです)
定休日/水曜日
0848-23-5283

この内容は2008年1月27日付けのものです。


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